日本版シリコンバレーとは?必要性や場所、求められる人材を解説

皆さんはシリコンバレーとはどんな場所か、ご存じでしょうか?

シリコンバレーは、グーグルやフェイスブックといった世界的なIT企業が集結する、アメリカ西海岸・サンフランシスコ近郊の地域一帯のことです。

シリコンバレーには、世界中から優秀なITエンジニアが多く集まっています。日本にも、シリコンバレーに憧れを抱いているエンジニアの人は少なくないのではないでしょうか。

一方で2021年1月現在、シリコンバレーを擁するアメリカは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が深刻な状況となっています。
2021年1月5日現在、日本の外務省はアメリカの安全情報について「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止)」としており、渡米しないよう注意を促しています。※注1

シリコンバレーで活躍したいと考えている人にとっては、そもそも渡米自体が難しく非常に残念な状況といえるでしょう。

しかし実は日本でも、シリコンバレーのようなIT拠点を作ろうとする「日本版シリコンバレー」推進の動きが活発化してきているのをご存じでしょうか。これはIT業界での活躍を目指す人にとって、大きなチャンスといえるかもしれません。

今回は、日本版シリコンバレーとは何かを詳しく解説します。

【この記事でわかること】
・日本版シリコンバレーとは何か
・日本版シリコンバレーはどこにあるのか
・日本版シリコンバレーで求められる人材とは

日本版シリコンバレーって何?

日本版シリコンバレーとは、カリフォルニアのシリコンバレーのように有力なスタートアップ企業を継続的に生み出せる拠点を日本でも作ろうとするものです。

主導して取り組みを進める内閣府はこれを「スタートアップ・エコシステム拠点都市」と呼んでいますが、報道では「日本版シリコンバレー」と呼ばれることが多くなっています。

2020年7月、内閣府は「スタートアップ・エコシステム拠点都市」を選定し、発表しました。※注2

この事業では、各拠点において民間のベンチャーキャピタル(VC)や日本政策投資銀行などからの資金援助を支援するほか、設立10年以内の未上場で企業価値10億ドル以上の「ユニコーン企業」を5社以上誕生させること、海外起業家の誘致を倍増させ「起業家の聖地」とすることなどを目指しています。

日本政府が日本版シリコンバレーの形成に動き出した背景には、日本がIT産業で世界に遅れをとっているという危機感があると考えられます。

米調査会社のCBインサイツによれば、2020年11月時点で、世界のユニコーン企業数は500社にのぼりました。※注3

そのうちアメリカが242社と最も多く、次に中国が119社と続いており、米中が全体の7割を占めています。

一方で日本はわずか4社と非常に少なく、ユニコーン企業数ランキングでは世界11位にとどまっています。

なぜ日本はこれほどユニコーン企業が少ないのでしょうか。

ユニコーン企業が誕生するためには、ベンチャーキャピタルからの資金調達が欠かせません。

一般財団法人のベンチャーエンタープライズセンターの「ベンチャー白書2018」によれば、日本の2017年のベンチャー投資額は「1,976億円」で前年対比29%増となったものの、アメリカはなんと「9兆5,336億円」、中国は「3兆3,630億円」とまさに桁違いの規模になっています。※注4

日本でユニコーン企業の数が少ない理由のひとつとして、日本は米中に比べてベンチャー投資の規模が小さいことが考えられます。

日本版シリコンバレーは、このような現状を打開すべく、ユニコーン企業が継続的に誕生できるような、新しいエコシステムを構築しようとするものなのです。

ベンチャーキャピタルからの資金調達を呼び込んでユニコーン企業を生み出し、その資金やノウハウが未来の起業家に受け継がれれば、さらなるベンチャーキャピタルを呼び込めるという好循環が期待できます。

日本版シリコンバレーはどこにあるのか?

ではそんな日本版シリコンバレーの拠点として選定されたのは、どのような場所なのでしょうか。

「スタートアップ・エコシステム拠点都市」においては、「グローバル拠点都市」として、東京都や横浜市、つくば市などから構成される「東京コンソーシアム」のほか、愛知県、名古屋市、浜松市などの「Central Japan Startup Ecosystem Consortium」、大阪市、京都市、神戸市などの「大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム」、福岡市などの「福岡スタートアップ・コンソーシアム 」が選定されています。

当初は2~3都市を選定する予定だったものの、立候補が多く4都市圏に上積みされており、多くの都市から強い興味が寄せられたことが伺えます。※注5

さらに「推進拠点都市」として札幌市、仙台市、広島県、北九州市なども選定されています。

各拠点には政府や政府関係機関、民間サポーターによる集中支援が実施され、世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点に成長することが期待されています。

具体的な流れとしては、例えば「東京コンソーシアム」の場合、スタートアップやベンチャーキャピタルが集まる渋谷、六本木といった東京都心部を核として、研究開発都市を擁する川崎や横浜、つくばなどの各都市と連結します。

さらに東京大、慶応大、早稲田大などの有力大学と連携して研究開発成果を事業化し、各自治体や事業者と連携しながら新しい技術やサービスの実証フィールドを整備することが想定されています。

このように日本版シリコンバレーは、狭い場所に限定されたものではなく、複数の場所や機関によるエコシステムを構築する拠点を形成しようとするものなのです。

日本版シリコンバレーで求められる人材とは

日本版シリコンバレーでは、どのような人材が求められるのでしょうか。

内閣府の主導する一大プロジェクトである日本版シリコンバレーには、さまざまな人が関わっています。

主導する内閣府に加えて、その施策を後押しする経済産業省、文部科学省のほか、各拠点の地方自治体や大学、そしてベンチャーキャピタルや金融機関といった民間組織の参画が欠かせません。

そしてベンチャー創出に成功しスタートアップ企業が誕生すれば、そこで働くエンジニアなどの新規プレイヤーの需要が生まれます。

具体的に求められるエンジニアのスキルなどは、それぞれの企業から募集要項が発表されていくと考えられますが、新たなビジネスに積極的に挑戦していける主体性や向上心などは、どの企業でも歓迎されるはずです。

さらに各拠点では国外都市との連携や、国外の起業家や支援者などとの連携も想定されており、海外への情報発信も重要な取り組みとして位置づけられていることから、英語など語学力が評価されるケースも考えられます。

また各拠点では、幅広いコミュニティーを形成し、出会いの場を構築して新規プレイヤーの新規参入を促すとしています。

日本版シリコンバレーで働くことを検討している人は、こういった場に積極的に足を運びネットワークを築くことで、チャンスが広がる可能性もあるでしょう。

まとめ

日本版シリコンバレーは、2020年7月に内閣府が拠点都市を選定したばかりの新たな取り組みであり、今後の動向が注目されます。

東京以外にも、北は札幌から、南は北九州まで全国に広く拠点が設けられており、多くの人にとって日本版シリコンバレーに関わることができるチャンスがあるといえます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、当面はカリフォルニアの本場シリコンバレーで働くため渡米することは大きな困難が伴うと考えられます。

しかし日本版シリコンバレーであれば、より現実的に活躍の場を模索することができるでしょう。

将来的にカリフォルニアのシリコンバレーを目指す人も、日本版シリコンバレーでキャリアを積みスキルを磨くことは、有意義な経験となるのではないでしょうか。




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※注1
外務省海外安全ホームページ:北米地域海外安全情報https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcareahazardinfo_19.html

※注2
内閣府:世界と伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市の形成https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/ecosystem/index.html

※注3
日本経済新聞:世界のユニコーン企業、2年で500社に倍増 米中7割
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66678750W0A121C2MM8000

※注4
【検証エコノミー】日本のベンチャー投資、米中に見劣り
https://www.sankei.com/politics/news/190124/plt1901240028-n1.html

※注5
産経新聞社:《独自》日本版シリコンバレーへ 政府が東京・横浜など4都市圏を選定https://www.sankei.com/smp/politics/news/200710/plt2007100055-s1.html

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