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実は今「日本のスタートアップが熱い!?」と言われている件について


海外に比べて日本のスタートアップは遅れている、、、そんなイメージもひょっとしたらもうすぐ変わるかもしれません。日本のスタートアップに対する投資額が、この7年間で7倍になっているというデータがあります。*注1

2013年当時は全体で800億円程度だった投資額が、2019年には4,500億円に迫る勢いで伸びています。

今回の記事では、この話題について少し掘り下げてみましょう。

【この記事でわかること】
 ・日本のスタートアップブームの歴史について
 ・第四次ベンチャーブームと呼ばれる現状とは
 ・今後の日本のスタートアップ環境がよくなるためには

日本のスタートアップブームの歴史

冒頭で紹介した通り、日本のスタートアップはこの数年でかなり勢いがついてきてることがデータでわかります。現在の状況は「第四次ベンチャーブーム」と言われています。「スタートアップ」と「ベンチャー」は厳密には異なる概念ですがこの記事ではあまりこだわらず、新しいテクノロジーやイノベーションを活用した新興企業ということで、同一視していきます。*注2

まず、これまでの3回のベンチャーブームを少し振り返ってみましょう。

【第一次ベンチャーブーム】 1970年前後(第一次石油ショックまで)
・代表的な企業:キーエンス、日本電産、すかいらーく、アデランス、大塚家具
・資金:高度経済成長や日本列島改造ブームで潤沢な資金が投資に向けられた
・起業家:脱サラブームで、会社を辞めて独立開業する人が増えた
・環境:中小企業投資育成会社の設立、JASDAQ市場の創設
・特徴:研究開発型のハイテクベンチャーや外食ベンチャーなど

キーエンスはファブレス企業として、現在も順調に業績を伸ばしています。高度な開発力と強いセールスに加えて、生産ラインを外注することによってリソースを有効に利用するという、現代にも通用するビジネスモデルで好調を維持しています。その他の企業については、現状でかなり苦労しているところも散見されます。

【第二次ベンチャーブーム】 1980年代前半(円高不況まで)
・代表的な企業:ソフトバンク、エイチ・アイ・エス、スクエア、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、アイフルホームなど
・資金:ベンチャーキャピタルの増加
・起業家:シリコンバレーのベンチャーブームなどが起業心理を後押し
・環境:JASDAQ上場基準などの緩和
・特徴:それまでの製造業から、流通やサービスを中心とした第三次産業に

1980年代といえば日本経済の黄金期と言っても良い時期であり、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本が、国内でベストセラーになったのもこの頃です。
東証二部などの上場基準が緩和されたことによって、「起業から上場(ゴール)へ」の目標が立てやすくなったのも一つの要因でしょう。

「会社を起こして継続的に利益を上げる」に加えて「上場して創業者利益を」というモチベーションが、起業ブームに繋がったとも言えそうです。しかし残念ながら、バブル崩壊とともに多くのベンチャーが倒産・廃業となり終焉を迎えます。

【第三次ベンチャーブーム】 1995年~2005年(ネットバブル崩壊まで)
・代表的な企業:楽天、光通信、GMO、サイバーエージェント、DeNAなど
・環境:政府による規制緩和 「中小企業創造法」「第二店頭市場の開設」など

長引くバブル崩壊後の経済不況を打破するための政策として、ベンチャー支援を政府が打ち出したことがきっかけとなりました。大学在学中に起業して、IT技術を駆使したインターネットサービスで成長するといった、現在のベンチャー企業のイメージができ上ったのもこの頃です。Amazon・Google・Yahooなどもこの時期に創業しています。

第四次ベンチャーブームと呼ばれる現状

そして現在は「第四次ベンチャーブーム」と呼ばれています。この第四次ベンチャーブームの現状について、詳しく見ていきましょう。

資金がスタートアップ市場に供給されるようになってきた

現在は過去3回の事例と比較しても、スタートアップに恵まれた環境が整備されつつあります。

その1つとして、政府主導でスタートアップ支援に力を入れていることが、かなり大きなバックアップとなっています。「J-Startup」と呼ばれる政府主導のプログラムが、スタートアップに対する信頼性の向上に役立っています。

もともとスタートアップは、例えどんなに独創的なイノベーションをベースにしていても、それが事業として成功するかどうかはわからないリスクの高い投資先です。日本では、このようなリスクマネーにチャレンジする大口の投資家が少なく、安定した収益を志向する傾向がありました。それが、INCJ(旧産業革新機構)などの政府系各種機関から、ベンチャーキャピタルへの出資したことが契機となり、スタートアップ市場にこれまでにないボリュームの資金が流入することになります。*注3

リスクマネーについては、先行してスタートアップを成功させた起業家が、若い才能にバトンを渡すように資金を投入する動きも顕著になってきました。家入一真氏を代表とするような、エンジェル投資家が日本にも現れています。
このような人たちが、SNSなどを活用しながら広くスタートアップに関するモチベーションを持ち上げているのも、ブームを後押ししている要因の一つであると言えます。

スタートアップのハードルが下がってきたこと

スタートアップのハードルが下がってきたことも、大きな理由に挙げられます。ハードルにも色々ありますが、ここでは創業資金について取り上げてみましょう。

一昔前であれば、インターネットサービスの新会社を立ち上げようとしても、初期段階でかなりの先行投資が必要でした。サーバーを自社内に構築するにしても、専用のサーバー室にバックアップシステム、非常用電源などなど、ハードウエアだけで大変な設備が必要でした。テスト環境を整える段階においても、相当な先行投資が必要な上に、サービスをスタートしてからもトラフィックの増大に合わせて追加投資をする必要がありました。

現在では、各種ITサービスが以前と比べ物にならないほど進歩していることもあり、サーバーなどのハードウエアは自社で揃える必要がなくなりました。テスト環境だけなら、AWSなどの優れたサービスを時間単位でレンタルすれば良いので、圧倒的に少ないコストと人員で、自社のサービスをブラッシュアップすることができるようになりました。
これにより、才能とアイディアはあるけれど潤沢な資金がない若い起業家でも、チャンレンジができる可能性が広がりました。

スタートアップに対するマインドの変化

マインドの変化というのは数値化しにくいため、あくまで定性的な観点になってしまいますが、実はかなり重要なポイントなのかもしれません。
 
「有名大学を出て公務員に」が「親も喜ぶ」孝行息子(娘)であり、なにか商売を始めて一発当ててやろうという考えは「山師」扱い、、、というのがこれまでの日本人の国民性でした。安定志向が強く「寄らば大樹の陰」が、一般大衆の処世術であるとされてきました。

このようなマインドのベースとなっているのは、「終身雇用制度・年功序列」と年金や国民皆保険などの「安定した社会保障制度」です。長く一つの会社に務めることで、安定した生活と老後の保証が得られ、年をとるほどに収入もアップする。このような労働環境の中では、無理してリスクの高いスタートアップを選択するよりも、安定志向の方が優位になります。

しかし、バブル崩壊・長引くデフレ・少子高齢化など、多くの社会情勢の変化によって、今や非正規雇用も増えています。たとえ大企業の正社員であったとしても、いつリストラされるかわからないという現実もあり、さらに年金制度崩壊など先行き不透明な社会になっているため、「有名大学を出て、名のある企業に就職」が、一番リスクの高い選択となる可能性もあります。それならば若くチャンスのある時に起業し、リスクはあるけど大きく夢も広がるようなチャレンジをしてみよう!という風に考える人が多くなっても不思議ではありません。

アメリカと日本のスタートアップの違いについて、多くの分析がなされていますが、このような労働環境の違いによるマインドの差が大きいのではないでしょうか。

今後の日本のスタートアップ環境がより良くなるためには

ここまで述べてきた通り、日本のスタートアップ環境はこれまでに比べても確実に良くなってきています。リスクマネーへの投資も増え、マインドも変化し、政府主導で市場の活性化も進んできました。もちろん、それぞれのボリュームについては、まだまだアメリカなどにはとても太刀打ちできないレベルではありますが。。。

この先、スタートアップ市場がもっと盛り上がり、数多くの日本発信のイノベーションが成長していくにはどうしたらよいでしょうか?

1つ目はイグジット(Exit)です。イグジットとは、創業者・出資者が事業を成功させることによって目指すゴールです。一般には、株式公開(IPO)かM&A(事業買収)によって、まとまった資金を手にすることを指しています。連続創業家は、イグジットで得た資金を元に、次の新しい事業を起こすことを効率よく繰り返し、いくつもの創業に関わっていきます。
 
スタートアップがすべからく「一攫千金」を目指す訳ではありませんが、リスクを負う以上は一定のリターンは必要であり、その魅力が大きいほどチャレンジャーは増えます。そのため、イグジットで得ることができる資金はとても重要となります。
時価総額10億ドル(日本では1,000億円が基準となることも)を超える非上場企業のことをユニコーン企業といいますが、2018年上場のメルカリが日本初の事例であり、この点についても、日本は大きく出遅れていました。
ただしこの状況も改善しつつあり、2020年時点で6社のユニコーン企業が日本に存在しています。ユニコーン企業が増えることで、スタートアップの企業価値が短期間に高まり、イグジットによって大きなリターンを手にする創業者・出資者が増えることが次のスタートアップにも繋がるという良い循環が生まれると、市場もますます盛り上がるでしょう。*注4

2つ目としては、グローバルへの対応が挙げられます。
どうしても日本のスタートアップの場合、国内市場をターゲットとした製品やサービスが主流となり、なかなか国際社会で広く活躍するまでに至っていません。
日本の場合、イグジットのボリュームが小さくなりがちであったり、海外から同種のサービスに対抗できなかったりと、弱点が目立ってしまいます。私たちが日常的に使っているインターネットサービスや関連製品のほとんどが海外製です。
いつか日本のスタートアップが、世界に通じるサービスを産み出して欲しいと、日本人の一人として願っています。

まとめ

「ガレージでヒッピーもどきの若者二人が始めた企業が今や世界を代表する、、、」そんなアメリカン・ドリームが、スタートアップの大きな魅力でしょう。アイディアとイノベーションで「いつか世界を変えてやる」。若いエネルギーと才能を賭けて取り組むだけの価値のあるチャレンジですが、安定志向が強く、失敗への寛容性が少ない日本では、このようなチャレンジは「無謀」であると見なされる傾向がありました。

しかし、今まさに世の中は大きく変化しつつあります。終身雇用の崩壊が現実となり、「安定」した生活が難しくなっています。このような世の中だからこそ、全ての人にチャンスがあります。そしてチャレンジできる環境がもっと整えば、なかなか面白い時代になりそうだな…と、そんな予感がするのは、私一人ではないでしょう。




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■参考文献
注1
CORAL 「私が日本のスタートアップ投資の魅力を海外に伝えるときに話すこと」

https://coralcap.co/2020/12/how-i-pitch-the-japan-startup-market-to-global-investors/

注2
DIAMOND online 「メルカリ上場で幕を開けた、第4次ベンチャーブームと3つの「環境変化」」
https://diamond.jp/articles/-/222103

注3
INCJ(旧産業革新機構)について
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jic/pdf/002_06_00.pdf

注4
STARTUP DB 「国内スタートアップ想定時価総額ランキング最新版TOP50(2020年1月)」
https://media.startup-db.com/research/marketcap-ranking-202001

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