
イノベーションの事例から学ぶ!革新的技術やアイデアを生む考え方
この記事を読むと以下の3つのことがわかります。
①イノベーションとは何か?
②イノベーションを起こした事例
③イノベーションを起こすための考え方
イノベーションとは?
イノベーションは、日本では一般的に「技術革新」を指す言葉として使われています。しかし、イノベーションという言葉を初めて定義したオーストリア出身の経済学者であるヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションのタイプには次の5つがあると提唱しています。*注1
- プロダクト・イノベーション:新しい製品やサービスの創出
- プロセス・イノベーション:新しい生産方法の導入
- マーケット・イノベーション:新しい販路の開拓
- サプライチェーン・イノベーション:新しい供給源の獲得
- オーガナイゼーション・イノベーション:新しい組織の実現
このことから分かるように、一般的に用いられる「技術革新」を指す意味でのイノベーションは、イノベーションの一部分のみに焦点を当てたものであり、イノベーションの本質には結びつきません。
イノベーションは、「これまでになかった革新的な技術やアイデアによって新たな価値を生み出し、社会に大きな変化を起こすこと」だと考えるのが適切だと言えます。
イノベーションを起こした事例
ここからは、実際に企業がイノベーションを起こした事例を見ていきましょう。上述した、ヨーゼフ・シュンペーターが提唱したイノベーションの5つのタイプに合わせて紹介していきます。*注1
プロダクト・イノベーションの事例
プロダクト・イノベーションを起こした事例として代表的なものが、SONYのウォークマンです。*注2
音楽は家や車の中で聴くものだという常識を打ち払い、「外に音楽を持ち出して、歩きながら音楽を楽しむ」という斬新なアイデアを世の中に広めたことによって、私たちの生活は大きく変わりました。ウォークマンの登場以降はAppleのiPodなどの後続商品が続々と参入し、現在ではスマートフォンを使って音楽を外で聴くことが一般的になっています。
ウォークマンに必要な技術は、製品開発時には既に存在していた技術であり、ウォークマンを生み出すために新たに開発されたものではありません。「外で音楽を聴く」というコンセプトに合わせて、個々の技術を統合した結果がウォークマンであり、革新的な新技術だけがイノベーションを生むのではないということを、私たちに教えてくれます。
プロセス・イノベーションの事例
プロセス・イノベーションを起こした事例として代表的なものが、ECサイトのZOZOTOWNによる「ZOZOスーツ」のサービスです。*注3
ZOZOTOWNをはじめとするECサイトの流行によって、インターネットで服を買うという行動は一般的なものになりましたが、実店舗のように試着ができないことから、消費者はサイズが合わないかもしれないという不安を持っていました。ZOZOTOWN側から見ても、サイズが合わないことによる返品の対応は非常に手間がかかるため、課題となっていました。
それらの問題を解決するために提供されたのが、ZOZOスーツです。伸縮センサーを備えたスーツを着てスマホをかざすだけで採寸ができるため、消費者は自分に合ったサイズを知ることができます。また、採寸した結果に合わせたジャストサイズの服を提案してくれたり、探したりすることができることによって、「試着できない」というECサイトにおける課題を解決しようとしました。
マーケット・イノベーションの事例
マーケット・イノベーションを起こした事例として代表的なものが、AppleのiPhoneです。*注4
もともと、Appleは独自のMacOSを搭載したパソコンを製造・販売していましたが、他社製のWindowsOSを搭載したパソコンが圧倒的なシェアを持っており、パソコンの市場では勝つことができませんでした。
しかし、パソコンと携帯電話を組み合わせたスマートフォンの市場をiPhoneによって作り出すことに成功し、新たな市場で圧倒的なシェアを獲得することができました。スマートフォンの登場はさまざまな産業構造に大きな変化をもたらしており、今世紀を代表するイノベーションだと言えるでしょう。
イノベーションを起こすための考え方
ここまでで、イノベーションの定義や事例について紹介しました。次は、どのようにすればイノベーションが起こせるのかを考えてみましょう。
日本では「マネジメントの父」と呼ばれ、多くのビジネスパーソンから支持されている経営学者のピーター・ドラッカーは、著書「イノベーションと企業家精神」において、イノベーションにつながる機会として7つのものがあると提唱しています。*注5
- 予期せぬ成功と失敗を利用する
予想していなかったのに成果が出たり、予想していないのに失敗した場合、そこにイノベーションの機会が隠れている可能性があります。「なぜ成功したのか?」「なぜ失敗したのか?」を分析して、原因を見つけ出すことが重要です。
- ギャップを探す
業績のギャップ、認識のギャップ、価値観のギャップ、プロセスのギャップなどの現実とあるべき姿のギャップを認識し、そのギャップがなぜ起こっているのかを考えることが、イノベーションを起こすきっかけになります。
- ニーズを見つける
「何が求められているのか」「何が不足しているのか」というニーズを探り、そのニーズを解決する方法を提供するという考え方です。顧客の声に耳を傾けてニーズを深堀りすることにより、イノベーションを起こしやすくなるでしょう。
- 産業構造の変化を知る
産業構造は非常に安定しているように見えますが、実際はとても脆くて変化が起こっています。ある産業の急激な成長や仕事の仕方の変化などを敏感に捉えて行動することで、いち早くイノベーションを起こして先駆者利益を得ることができます。
- 人口構造の変化に着目する
人口の増減や年齢構成の変化は社会を大きく変えるため、イノベーションのきっかけとなります。日本においても、少子高齢化による人口減少と高齢者層比率の増加という人口構造の変化に直面しており、これから新たなイノベーションが起こるかもしれません。
- 認識の変化を捉える
世の中の認識が変わったことを敏感に捉えることにより、イノベーションのきっかけを見つけ出します。例えば、コンピューターはかつては一部の先進的な人だけが持つものというイメージでしたが、現在ではスマートフォンの普及によって誰もが当たり前に持つものになっています。
- 新しい知識を活用する
最先端の技術や知識によってイノベーションを起こすというものです。一般的に、イノベーションはこの機会のことをイメージして使われることが多い言葉ですが、失敗の確率が高く、長い時間がかかることが多いため、実際はもっとも難しい機会だと考えられています。
これらの7つの機会を捉えることで、イノベーションを起こせる可能性が高まるとされています。また、複数の機会を組み合わせることが効果的な手法であり、イノベーションを偶然の産物ではなく必然のものと変えてくれるでしょう。
7つの機会は、イノベーションを起こしやすい順番に並んでいます。イノベーションを起こす考え方と言うと、難しく考えてしまいがちですが、物事の見方を少し変えたり、疑問を持って追求するといった簡単なことでも、イノベーションを起こすきっかけになるのです。
まとめ
企業はイノベーションを起こすことで社会に大きな変化を起こそうとしていますが、やみくもに考えるだけでは、イノベーションを起こすことは困難です。
イノベーションを起こす可能性を高くするためには、過去に起こったイノベーションの事例から学んだり、イノベーションを起こすための考え方を知ることが重要です。現在でも、新たなイノベーションの芽は次々に生まれており、ニュースやメディアを通じた情報収集によってイノベーションを学ぶことができます。
本記事をきっかけに、イノベーションについて考えていただきたいと思います。

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参考URL
注1
Battery 「シュンペーターが語る『イノベーションの5パターン』とは?」
注2
MONOist 「日本一のイノベーション誕生の背景には〇〇があった」
注3
現代ビジネス 「ZOZOとアマゾンは『日本の古いアパレル』をこうやって駆逐する」
注4
ZDNET Japan 「IPhoneは何を破壊したのか」
注5
かんたん経営学講座 「ドラッカー イノベーションの7つの機会」