シンガポールのICT化が加速!生活や建設現場の現状をご紹介

シンガポールは、経済成長が目覚ましく世界中から注目を集めています。
以前より生活のさまざまな場面でICT(情報伝達技術)化が進められているほか、ITを行政に活かしたりICT教育を進めたりとICTが生活の身近にある国なのです。

この記事では、シンガポールのICT化の現状や具体的なICT施策、シンガポールの建設分野におけるICT化などをピックアップしてご紹介します。

情報先進国!シンガポールのICT化とは

シンガポールは情報先進国というイメージがありますが、ランキングデータや国家戦略などから、ICT化の現状とICT化が進んだ背景をみていきましょう。

シンガポールは世界競争力ランキング首位

シンガポールは、ASEAN(東南アジア諸国連合)のなかでGDP(国内総生産)が最も高く、また1人当たりのGDPは日本の40,247米ドルを越えた65,233米ドル(2019年)と経済的にも恵まれています。(*1)

また、63の国や地域を対象に行った「IMD世界競争力ランキング(World Competitiveness Ranking)」では、2019年、2020年に首位を取っています。(*2)
このランキングは、スイスのビジネススクールであるIMD World Competitiveness Centreが1989年から毎年実施している世界的にも有名な格付けで、シンガポールの国際競争力の高さを裏付ける一例です。

シンガポールは教育と環境の整備でICT化を推進

またIMDでは「世界デジタル競争力ランキング」も行っています。(*3)
シンガポールは2013年から2017年は首位、2018年から2020年はアメリカに次ぐ2位と世界トップレベルのデジタル競争力を持っているのです。

このランキングは「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の大分類の各々に5つの小分類にわかれて総合的に判断されます。
シンガポールは各分野のなかでも「知識」「テクノロジー」「未来への準備」の順位が高い傾向があり、将来にそなえて以前から人材育成とICT化をすすめる環境づくりに注力していたことが読み取れるのです。

シンガポールでICT化が進んだ背景

シンガポールのICT化の発展は、シンガポールがおかれている現状とも大きく関係します。

シンガポールは国土が東京23区と同程度の広さで、人口は約564万人と日本よりも少ないです。
つまり、広大な土地を活用して産業を拡大させたり農業を発展させたりする戦略はとれません。
また、人口が少ないため、人手が多くかかる産業にも向いていないのです。

また、シンガポールの合計特殊出生率は1.14(2018年)国民に占める65歳以上の高齢者は16.0%(2019年)です。(*4)
ある統計では、日本以上のスピードで少子高齢化が加速するとされていて、日本以上に少子高齢化が問題となっています。

つまり、機械的にできることシステムを導入し、一人ひとりの生産性を高める政策を取り入れないと国の維持が難しくなると判断されているのです。

シンガポールにおけるICT化事例

シンガポールでは国家AI戦略として「輸送・ロジスティクス」「スマートシティ・不動産」「ヘルスケア」「教育」「安全・セキュリティ」の分野で2030年までにAI化を進める国家AI戦略も推進することが名言されています。
実際にどのような分野がICT化されているかをご紹介します。

オンラインで住所変更や婚姻届などの手続きが可能

シンガポールには国民登録番号制度があります。
NRIC(国民登録番号カード:National Registration Identification Card)は、日本で言うマイナンバーのようなもので、15歳以上の国民と永住者に配布されています。

NRIC番号自体は生まれたときから割り当てられていますが、NRICのカードがあれば行政手続や銀行口座の開設、不動産の売買などの個人取引などさまざま場面で使用できます。

国が管理する公的個人認証サービス(Singapore Personal AccessまたはSing Pass)は2003年から導入されていて、入国管理庁(ICA)、労働省(MOM)など60を超える政府機関と安全に取引ができます。(*5)

NRIC所持者は実際に市役所などに足を運ぶことなく行政手続きができるのです。

支払処理がICT化

シンガポールではもともとクレジットカードが使えますが、クレジットカードにはスキミングや盗難などのトラブルが伴います。

より安全に取引のために、昨今は請求書や罰金の支払い、チャージ、チケット発行などのeサービスは、パソコンやスマートフォンや街中に設置されているオンライン端末(AXS Station)で行えます。
AXS Stationは、日本のATMとコンビニエンスストア端末が統合されたような機能です。(*6)

このようにシンガポールはICT化している社会インフラも多く、ITシステムは生活に身近なものとなっています。

ICT教育をいち早く国家戦略として実施

シンガポールでは、1997年から5か年計画でICT教育マスタープランを策定しており、2003年、2009年、2015年に計画が見直されています。(*7)
まずは教員のICT研修から始まり、生徒の自主学習、協働学習など取り組み内容が引き上げられています。

昨今は生徒が自分のタブレット端末またはパソコンを持っていることを条件にオンライン学習などにも取り組まれています。
特に新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、家庭学習のニーズが高まりICT化のニーズも増えました。
シンガポールではICTの導入により授業の進め方が大きく変わりつつあります。

一方、OECDの国際教員指導環境調査(TALIS)によると、日本の中学校教員の場合、2018年時点におけるICT活用の割合が17.9%です。
参加国の平均51.3%に比べて非常に低く、日本国内におけるICT教育環境整備が急務だとも言えます。

BIMガイドラインの整備が世界的にも先行

シンガポール は建築分野のICT化も先行しています。
2002年には建築確認の完全電子化を適用し、2009年ごろからBIMによる電子申請の導入が始まっています。
それに伴いBIMガイドラインが整備され、2015年からは5,000㎡超の建物における意匠、構造、設備モデルにおいて、建築確認申請時のBIMモデル提出が義務付けられています。(*8)

BIMにはさまざまなメリットがありますが、今までの設計や施工、維持管理の方法とはプロセスが抜本的に異なる部分も多く見られます。
しかしシンガポールでは、BIM導入における課題を一つひとつクリアしながらICT化をさらに加速させているのです。

2018年にはシンガポール全土の3D化が完了

国土面積が狭い特徴を活かした戦略ともいえますが、シンガポールでは、国土全体をモデリングしたBIMデータが完成しています。
このデータには、建物や土木インフラはもちろん、各施設、樹木なども配置されています。

取り組みの中心となっているのはシンガポール国立研究財団(NRF)で、シンガポール土地管理局(SLA)、情報通信開発庁(IDA)により進められています。
また、システムはダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE City」がベースです。(*9)

BIMデータ上に図面や写真、書類などの資料や人や車の流れ、雨量などリアルタイム情報の盛り込みも検討されるプロジェクトです。

非常に大規模なデータですが、政府機関や省庁の連携を良くして効率よく工事を進めるなど、ビッグデータやモノのインターネット(IoT)、3Dモデリング、予測解析などさまざまな技術が統合できるものと期待されています。

まとめ

シンガポールは以前よりICT化のために人材育成や環境整備に力を入れています。
身近な生活がIT化されているほか、建設現場においてもBIMの適用が義務化され、国土も3D化されるなど、さらにデータの活用が進んでいくものとみられます。




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◆参考URL

*1 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000127169.pdf

*2 https://www.imd.org/wcc/world-competitiveness-center-rankings/world-competitiveness-ranking-2020/5

*3 https://www.imd.org/wcc/world-competitiveness-center-rankings/world-digital-competitiveness-rankings-2020/

*4 https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/10/aef654364f206f87.html

*5 https://www.singpass.gov.sg/singpass/

*6 https://www.axs.com.sg/index.php

*7 http://www.clair.org.sg/j/mail-magazine/201806-sin-ict-education/

*8 https://bim-japan.com/singa.html

*9 https://compassmag.3ds.com/ja/virtual-singapore/

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