シンガポールの建築様式はテクノロジーでどう変わる?

アジアの中でも最先端の発展を続けているシンガポールは、小国ながらも人の往来が激しく、それゆえに高度な都市化を進めてきた国でもあります。

そんなシンガポールの土地柄は、建築様式に目を向けても伺うことができます。シンガポールの建築様式の多様さから、この国の歴史を紐解きましょう。

目次:
・シンガポールの伝統的な建築様式
・歴史が垣間見える近世以降の建築様式
・BIMで変わる、シンガポールの街の姿

シンガポールの伝統的な建築様式

シンガポールに早い段階から定住を始めていたのは、やはり古代より強大な国力を誇示してきた中国の人々です。

中国系移民とともに伝播した仏教建築

シンガポールにおいては中国系の国民が最も割合としては多く、古くからこの土地で生活していたことが建築様式からもわかります。例えば現在シンガポール最古の中国寺院、シアン・ホッケン寺院は、200年近くこの国において大切にされてきた中国様式の寺院です。*1

伝統的な中国家屋や宮殿の様式を踏まえ、中庭を中心として左右対称な建築群は、現在も改修を重ねながら大切に扱われており、その迫力を失っていません。重要記念建築物に指定されているだけあり、ハイテク技術によって、現代にも通用する建物として現存しています。

ヒンドゥー建築やイスラム建築から垣間見える、文化の多様性

豪勢な中国文化が目立つシンガポールですが、中国以外の文化も共存しているのがシンガポールのおもしろいところです。東南アジアや東アジア以外にも、南アジアや中東地域との交流も多く、物流の拠点として栄えてきました。

そのため、スリ・マリアマン寺院のようなお寺には、ゴープラムと呼ばれるヒンドゥー寺院建築ならではの塔門がそびえ、インド神話が描かれている様子が見られます。*2 中国寺院に負けないほど彩色豊かなディテールは見るものを圧倒するパワーを放っています。

また、中東からはイスラム系の人々もシンガポールへと足を運び、この地に定住する者も少なくありませんでした。特徴的なドームがシンボルのスルタンモスクは19世紀に建てられたものですが、一度に5,000人の信者が礼拝に参加できるほど巨大な建築物です。*3 小さな島国でありながら、当時からこのような巨大建築を許容するおおらかな姿勢は、現代にも通じる国民性が垣間見えるところです。

歴史が垣間見える近世以降の建築様式

シンガポールは常に人の出入りが激しく行われている国ということもあり、時代によって様々な建築様式が移り変わっています。

15世紀以降のの中国移民が定着させたプラナカン建築

シンガポールには1000年以上も前から中国系の人々が移住していたという話もありますが、その後も継続的に中国系の人々の流入は進んできました。それを象徴するのがプラナカン建築と呼ばれる建物ですが、これは15世紀以降に中国からやってきた移民が建設したと呼ばれる様式です。*4

西洋的な荘厳さと、ビビッドな色使いが融合したこの建築様式は、シンガポールの生活様式にうまくフィットするよう作られているのが特徴です。現在でもプラナカン建築は観光地として人気を集めており、各地に残るプラナカン建築群には観光客が押し寄せています。

植民地時代の名残が色濃く残る、コロニアル建築

シンガポールは中国系の人々に支えられた地域である一方、19世紀にはイギリスの植民地となり、西欧式の建築様式が一気に増えた時代でもありました。コロニアル建築と呼ばれる植民地時代の建物は、今でもシンガポールの様々な地域で見られます。

高くそびえる時計塔がシンボルのビクトリア・シアター&コンサートホールはその典型と言えるでしょう。*5 白く巨大なこの建物は、改修を続けながら現在でも劇場として活用され、シンガポールにおける重要な芸術の拠点となっています。

植民地の歴史というと、重く暗い歴史が想起されるかもしれません。しかしシンガポールにおいてはむしろ、国としての威厳をさらに高める上で、重要な役割を果たした時代とも言えそうです。

BIMで変わる、シンガポールの街の姿

そんな歴史ある街並みを作り続けてきたシンガポールですが、近年の急速な都市開発によって、その街並みが大きく変わるかもしれない岐路に立っています。

シンガポールで進む「スマート・ネイション」化

シンガポールでは2014年、国家のスマート化を目指す「スマート・ネイション」構想を掲げ、各地にセンサーやカメラを設置し、一国丸ごと情報化を推進することが掲げられています。*6

都市を丸ごとスマート化する「スマートシティ」構想は日本でも始まっていますが、国を丸ごと情報化してしまうのは、世界でもまれな取り組みです。

一国丸ごと3D化の計画も

スマートネイションの構想に伴い、シンガポールではBIMモデルを活用し、一国丸ごと3Dモデル化を推進する取り組みもスタートしています。*7

シンガポールではBIMを用いた建設が積極的に推進されており、多くの建設会社がBIM建築へと移行しています。BIMモデルを事前に国へ届け出ることによって、建設に伴う審査も短縮化され、金銭的な支援も受けられるということで、使わない手はないのです。*8

将来的にはBIMモデルを使って国の建物を一元的に管理し、より合理的な都市計画に活用されることでしょう。

おわりに

建築様式は時代の写し鏡とも言えますが、シンガポールの建築はBIMの登場により、また一つ大きな進歩を遂げようとしています。これからこの国の建物がどのように変化していくかは、BIMの活躍次第で大きく変化することでしょう。




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参考:

*1 まっぷるマガジン「シンガポール建築、多民族国家を象徴する建築」
https://www.mapple.net/global/article/7782/

*2 上に同じ

*3 上に同じ

*4 シンガポールナビ「プラナカン建築物を見て歩くモデルプラン 」
https://www.singaporenavi.com/special/5034153

*5 マリーナ・ベイ・サンズ「コロニアル建築について」
https://jp.marinabaysands.com/singapore-visitors-guide/culture/colonial-architecture-guide.html

*6 BUILT「シンガポールの「国土3Dモデル化計画」、都市のビッグデータ解析がもたらす価値 (2/4)」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1612/26/news046_2.html

*7 上に同じ

*8 NTTファシリティーズ総研「シンガポールにおけるBIMの現状と将来展望」p.1
https://www.ntt-fsoken.co.jp/ehs_and_s/overseas_report/pdf/2015_1.pdf

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