
経営人材を育てるには?育成成功のためのポイントや必要な要素
経営人材の育成は、人事の重要課題として上位に挙げられるものの一つです。
経済産業省が2017年に行った「『経営人材育成』に関する調査」*1によると、経営人材候補育成を目的とした取り組みをしている企業は過半数。
しかし、「5年後の経営人材候補者が不足している」と回答する企業は約30%、「20年後の経営人材候補者が十分にいる」と回答している企業は約10%と、十分とは言えないのが現状のようです。
この記事では、経営人材育成に関する以下の3つについて解説していきます。
- 経営人材育成における課題
- 経営人材育成成功のためのポイント
- 経営人材に必要な要素
日本の経営人材育成における課題*2
日本の人事採用は、新卒一括採用が中心となっています。
「総合職」で採用された社員は、社内のさまざまな仕事を経験し、ジェネラリストとして育成されることがほとんどです。こうした人事採用や人材育成は、高度経済成長期にはうまく機能していました。しかしビジネスが多極化しつつある現代では、徐々に機能しなくなってきています。
また、平等を重んじる日本企業では、40歳頃になってようやく管理職になってリーダーシップなどの経験を積み始めます。一方で欧米の企業では、早いと20代から管理経験を積み始めるため、そうした人材との差が大きくなりやすいことも課題です。
このほか「『経営人材育成』に関する調査」では、経営人材育成全般の課題として「女性の候補者が少ないこと」も最も多く(約77%)挙げられています。
経営人材育成成功のための3つのポイント*3
将来の経営人材の確保や育成状況については、経営人材候補育成の取り組みをしている企業でも「不安だ」と回答している割合が高くなっています(約53%)。
では、不安を払拭するためにも、経営人材育成を成功させるのに大切な3つのポイントをみていきましょう。
1. 人材登用を適切に行う
日本の企業には、平等を重んじ、先に入社した社員から役職に就いていく年功序列の風土が浸透しています。たとえ若手社員に適正があったとしても、年齢が上の社員を出し抜いて上の役職に登用することは難しいのが現状です。
実際、「年下の上司」に抵抗を感じる社員も少なくないでしょう。
しかし、経営人材育成の成功を目指すなら、これまでの平等さや年功序列は考えず、適材適所の人材登用を行っていく必要があります。
2. 適切な成長機会を与える
「『経営人材育成』に関する調査」では、約75%で以下のような人材育成計画の策定や実施がされています。
- 経営層から薫陶を受ける機会
- 理念等のプログラムへの導入
- 強み・弱み、課題に気づく工夫
また、実施率は3割程度ですが、他にも「育成責任者に選抜人材の育成課題を伝達」や「育成責任者からのアドバイス・フィードバック」などが行われています。
経営者の講演会や研修、実際の業務で体験するなど、経営人材に成長の機会を設けていくことが求められます。
3. 現在の経営陣が積極的に経営人材育成に取り組む
未来の経営人材を選んでいくのは、現在の経営陣です。
経営層が積極的に経営人材育成に取り組んでいけば、会社内にも経営人材育成の重要性が伝わり、会社全体で取り組むべきことだということを理解してもらえるでしょう。
人材採用や人材育成についてはどうしても人事部に一任されがちですが、経営陣も積極的に経営人材育成に関わっていくことが大切です。
経営人材に必要とされる5つの要素
経営人材にふさわしい人は、どのような要素を備えている人なのでしょうか。経営人材に欠かせない、大切な5つの要素をみていきましょう。
1. リーダーシップ
企業でのビジネスは、一人で行われるのではなく、多くの社員が一丸となって行われます。経営人材には、社員たちをうまく動かしまとめて、事業を進めていけるようなリーダーシップが必要です。
2. 構想力
経営に関わるとなれば、会社のビジネスのビジョンや目標を描いていかなければなりません。
構想力を備え、社長になったつもりで、未来のビジョンや目指すべき姿をしっかりと描けるかどうかも重要です。
3. 決断力
社長をはじめ、経営人材はさまざまな局面で決断を求められます。
大事な局面で決断に迷ってしまうようでは、部下たちもどう動くべきかわからず、迷ってしまうことになります。
社内の混乱を避けるためにも、一つ一つ自分自身で決めていける力が必要です。
4. 強靭なメンタル
経営がうまくいっていないときでも、落ち込んだり、取り乱したりすることなく冷静に物事を見られる。逆に経営がうまくいっているときでも、思い上がったり、傲慢になったりすることなく、堅実に物事を進めていける。
経営人材には、そのように安定したメンタルが必要です。
もちろん、時には人間らしく喜怒哀楽を見せても良いですが、冷静さや客観的に状況を見ることは常に意識しておかなければならないでしょう。
5. 周囲からの信頼や人望
いくら本人が「経営に関わりたい」と思っていても、必ずしも経営人材に向いているとは限りません。
会社や事業における重要な場面では、多くの場合他のメンバーと協力して乗り越えることになるため、周囲からも信頼や人望も重要な要素だといえます。
「この人ならどんな局面でも引っ張ってくれて、一緒に乗り越えていける」と周囲から期待されるような、一種のカリスマ性を備えた人こそ、経営人材に向いているといえるでしょう。実際に経営人材候補者の選定の際にも、言動に問題があるなど、周囲からの信頼が得られていないような人では、候補者として推薦されないはずです。
まとめ:これまでの慣習を改革し、経営人材育成に取り組んでいこう
長く続いてきた平等さの重視や年功序列制度を打ち壊していくのは、決して簡単なことではないでしょう。
しかし変わりつつあるビジネスの世界においては、人材育成に関してもこれまでのやり方では通用しなくなっていくかもしれません。
今後も生き残っていくためには、経営人材育成もこれまでとは違ったやり方を取り入れ、会社を引っ張っていける人材を見つけていきましょう。
参照URL
*1:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20170331001-s2.pdf
*2:https://www.bbt757.com/business/article/article/20190113-193800/
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20170331001-s2.pdf
*3:https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20170331001-s2.pdf
https://jtb-hrsolution.jp/hrsupplement/evp/83
*4:https://mitsucari.com/blog/management_people/
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44633520Q9A510C1000000/
https://careercarver.jp/contents/common/divide-executive-officer/
https://jtb-hrsolution.jp/hrsupplement/evp/83

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